「軽井沢の森と暮らす。」
これは、私たちone itのWebサイトで使われているキャッチコピーです。
軽井沢の森「で」、ではなく「と」なのは、人が森を切り開いて住むのではなく、もともとそこにあった森と「一緒に」暮らす、という考え方を大切にしているからです。
軽井沢において、人はあくまで「自然の中に住ませてもらう」立場であり、周囲の環境を尊重し、一緒に生きていくという考え方が大切にされています。だからこそ軽井沢には、景観を守るための独自ルールが存在します。
ルールと聞くと、「何をどれくらい気をつければいいのか」「制約が多くて大変なのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「何のためのルールか」を理解すると、単なる義務としてではなく、前向きに「この景観を守ろう」という気になれるのではないかと思います。
今回の記事では、軽井沢で住宅や別荘を建てるとき、あるいはリフォームやリノベーションをするときに必要な考え方や、留意すべきルールをご紹介します。
軽井沢では、家は「みんなの景色」
日本では基本的に、建物は個人の所有物であり、デザインや色彩も個人の自由という考え方が一般的です。しかし軽井沢では、自然も家も含めて「みんなの景色」という考え方が根付いています。
それは、軽井沢が育んできた文化的・歴史的な価値によるものです。自然と調和した美しい景観は、一朝一夕でつくられるものではなく、多くの人々によって培われ、守られてきました。
そのため軽井沢に家を建てる際は、「この家は単なる私有財産ではなく、軽井沢の風景の一部になる」という意識が必要になります。
この考え方は、ヨーロッパの街づくりに通じるものがあります。ヨーロッパの街並みはとても美しく絵になりますが、それは景観を守るために、国や地域ごとに景観制度が定められているからです。
軽井沢は日本にありながら、西洋的な景観保全の思想を取り入れています。その最たるものが「軽井沢町景観育成基準ガイドライン」。ここには、軽井沢で建物を建てるときのルールが定められています。
軽井沢独自の景観ルール
実際、軽井沢で家をつくる際の注意点にはどんなものがあるのか、ガイドラインから主な内容を抜粋してみました。家を建てる地域によってルールは異なるため、詳細は資料をご覧ください。私たち自身も軽井沢移住・軽井沢での建築を経験していますので、不安なことがありましたらお気軽にご相談ください。
参考資料
軽井沢景観育成基準ガイドライン
使う素材
素材を選ぶ際は、色合いや手触り、断熱性能も大切ですが、「周辺環境と調和するか」も必要な検討軸です。なるべく人工のものではなく、木材や石材といった自然素材を使うのがおすすめです。せっかくなら、軽井沢で採れる木や石にこだわるのもいいかもしれません。one itにも、たくさんの見本を揃えています。

色彩
屋根や外壁に使う色を考える際は、前提として「周辺の景観と調和するか」を意識しましょう。
表面に着色していない自然素材などを除き、地域ごとに以下のルールが定められています。
●商業地域:彩度4以下
●居住地域:原則として彩度4以下
●保養地域:彩度4以下かつ明度7以下(無彩色を除く)
自然の緑の彩度は5〜6程度であり、建築物等の彩度が5以上になると、自然に溶け込む建築とすることができません。明度が高すぎても、自然環境と馴染みにくくなります。
緑化
敷地内にある樹林、樹木、河川、水面、水辺等は、極力保全するのが基本です。
さらに、建物が自然を圧迫している印象にならないよう、敷地の境界部分への配慮も忘れないようにしましょう。敷地と道路の境界には、コンクリートの塀ではなく生垣や自然石の低い石積み、あるいは樹木を使って、周囲の景観との連続性を意識するのがベターです。

景観
軽井沢の景色といえば、雄大な浅間山や佐久平の眺望です。お客様のなかにも、「景色に感銘を受けて、この土地に決めた」という方が多くいらっしゃいます。
建物の高さは、原則として周辺の樹木の高さ以内にとどめることがルールです。そのため保養地域、居住地域では2階以下、10m以下、商業地域では3階以下、13m以下と決められています。
このルールのおかげで、軽井沢には高層の建物がなく、かつての文化人が愛した美しい景色を今も感じることができます。

one itでは、初回の打ち合わせはなるべく軽井沢で行うようにしています。遠方にお住まいの方にはご足労をおかけしますが、実際の軽井沢の景観や雰囲気を五感で感じていただいたほうが、ミスマッチを防ぐことができます。
自身の理想の暮らしが軽井沢で叶えられそうか。景色に愛着を持てるか。「ここで暮らしていきたい」と思えるか。ネットや雑誌の情報だけでなく、現地で感じて、考えてみてください。
one it施工実績は、こちらのページからご覧いただけます。
建築実例 | 軽井沢の建築事務所 one it | 別荘・住宅の建築設計・施工、リフォーム
規制がもたらす恩恵
規制について、「選択肢が狭まってしまい、窮屈だ」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、景観を守るために森と調和することは、住まい手に「豊かさ」をもたらしてくれます。
森と調和した家にいると、自然の気配をいつも近くに感じることができます。すると、感性が研ぎ澄まされ、何気ない瞬間を愛おしめるようになります。朝は目覚まし時計ではなく、陽の光で起きる。季節によって変わる鳥の声を聞く。葉擦れの音を味わいながら庭仕事をする…。森と調和して暮らすことで、私たちのなかにある本能的な、原始的な幸福観が目覚めるのかもしれません。
軽井沢に移住したことで、散歩や薪割り、草木の世話など、自然と関わる趣味が増えたという方もたくさんいらっしゃいます。

また、地域全体が美しい景観を保っていると、資産価値を未来に引き継ぐことができます。家だけでなく、軽井沢という場所に愛着を持つことで、場所や空間の価値は高まっていきます。建てた家を、将来お子様やお孫様に引き継ぎたいとお考えであれば、なおさら景観の価値ごと渡したいと思いませんか。
家も森も、自分がそこにいなくなったあとも残ること、そこで生きる人々がいることを考えると、ごく自然に、ルールを守りたいと思えるはずです。
軽井沢の森と一緒に暮らす
one itでは、「森に溶け込む設計」を軸に、自然と調和した住宅・別荘をご提案いたします。軽井沢の住宅・別荘の建築、リフォーム、リノベーションをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。軽井沢の、そして私たちの価値観に共感してくださったら、ぜひ、森でお話しましょう。お待ちしています。